シンガポールグランプリの市街地コースは、マリーナベイ・ストリートサーキットと呼ばれ、レースは2008年から開催されています。このサーキットは首都の中心部にある湾岸地区に特設され、ホームストレートとピットは、この日のために公園を一部路面舗装して作られます。このコースは公道を使用しているために、全体的に見てコースの幅が狭く、最も狭い場所では8メートル程度しかありません。そのためにドライバーにとって非常にテクニックを要するコースとなっています。
コース全長は5063キロメートル、コーナーの数は23あります。このコースを61周回りますが、1周回るのに大体1分46秒前後かかります。なお、今までの最高タイムは約1時間51分11秒です。
コースの全体像
最初にホームストレートを通過すると、第1コーナーと第2コーナーに速度を減速させるためのシケインがあり、そこは非常に狭くなっているので、全車がそこに密集し、混乱をきたします。続いて第3コーナーでは180度回り込んだのち、車は速度を加速していきます。第5コーナーを過ぎてマリーナ・マンダリンホテル前のラッフルズ・ブルーバードへ出てきます。この道は公道であるために路面が非常に凸凹しており、バウンドすることも多く、車と路面との接触によって火花が出たりする派手なアクションの起きる場所でもあります。その後にある第7コーナーでは激しい追い抜きが見られ、第8、第9コーナーへと繋がっていきます。第10コーナーにはこのコースの名物とも呼ばれるシンガポール・スリングというシケインがあります。ここを過ぎてアンダーソンブリッジを渡り、マーライオンヘアピンという第13コーナーを回ります。その後の第18コーナーから21コーナーまでは道幅が狭く、その上見通しも悪いという悪条件のために、クラッシュが起きやすい場所です。そして、最後の第22・23コーナーを抜けて1周となります。
コースの魅力
シンガポールグランプリのコースは、23あるコーナーのうち半分が時速100キロ以下で走行する低速コーナーであり、最長区間でも832メートルしかありません。ただ、スタート直後から接触が起こりやすく、その分派手なせめぎあいが展開されて、それがスリリングでもあります。また、路面の凹凸が火花を生み、派手なカーアクションを見せてくれます。そしてナイトレースのために、コースが大量の照明によって照らし出され、コース全体が暗闇の中に光の帯のように浮かび上がって、シンガポールならではの幻想的な雰囲気を醸し出してくれます。